J-45リメイク(サザンジャンボに)

こういうリメイク改造などが好きな人は意外に多いかなと思いリメイクのページ作りました。

このページを見てリメイクしたくなった人は、どのギターでもリメイクはできますが、少々難しいです。自己責任でお願いします。

 

私物のJ-45(62年復刻モデル)。若いころにバイトして買った宝物です。
しかしこのギター、弦を張るとトップがかなり浮いてくる上、塗装クラックも相当酷い。さらにブリッジも浮いてきていて弾ける状態ではないので思い切ってリメイクしようかと。
あまり鳴りもよくないのでトップと指板を交換しようと思います。ギブソンのブレイシングの研究にもなるので。
本当はJ-45ではなくサザンジャンボが欲しかったのですが、当時は品がなく高級ビンテージしかなかったのでサザンジャンボには手がとどきませんでした。ですので当工房らしいサザンジャンボにリメイクします。

メーカー品はリメイクすると価値がなくなりますが元から売るつもりがないのでリメイクを楽しもうと思います。
塗装も濃いサンバーストではなく明るめのサンバーストにしようかと。

 

ピックガードと指板を剥がしました。
ピックガードはそのまま使用しましょう。
ロッドも効かないぐらいネックが反っているのでロッドも変えて指板を削ってある程度反りを調整しようかと思います。ネック折れ防止にカーボンロッドも2本入れます。
トップ全部にバインディングと指板を交換。うーん、新しく作るより大変ですね。
とにかく壊さないように残しながら解体していくのが難しい。

トラスロッドを取り出しました。新たに違うタイプのロッドを埋め込むのでトリマーで加工します。そのため粗く掘り返していますが問題ないです。

自然な状態でこの反りはひどいのでどうしようか。とりあえず指板をストレートの状態に削るのが最善かなと思案中。

 

トップ剥がしました。ブリッジ下に一本短いのはトップ浮きが酷かったのでなんとか抑えるためにむかしに入れたものです。

この短い部分を基に長くして振動を伝えるためにしっかりと組んだものが現在の当工房のブレイシングになります。

ちょっとエンド部分かけちゃいました。バインディングと一緒に飛んじゃいましたね。解体はこれがあるんですよね。まあ問題ないですが。こればっかりは気を付けても起こるときは起こる。

サイドには割れ止めとかはないのですね。

サインが入っていました。調べても出てこなっかったのでマスタールシアーとかではないのかな。当時ブレイシング担当だった人かなと。見た感じほとんどすべて機械での加工ですしね。

トップ材はベアクローシトカスプルースでいきましょう。人が持っていないような物にしたいんで。ありそうでないような。
ロゼッタはサザンジャンボなんでダブルリングにしています。もちろん木製。セルなどは基本的に使用しません。

このギター用のブレイシング図面を新たに用意しました。元のブレイシングを意識した作りです。

この箇所はできる限り強度を持たせ振動を伝えるために組ませて製作します。

ブレイシングの完成。ギブソンのブレイシングがマーティンのフォワードシフテッドXブレイシングよりXの交差位置が高いことに驚きました。そりゃトップも浮きやすくなりますね。
新しく製作したブレイシングは交差位置が普段の物より高めですがフォワードシフテッドXブレイシングより低い位置にしました。(サウンドホールからブレイシングの交差部分までの幅が近いほどブリッジ近辺が自由に振動するので音量が増します。がブリッジがXブレイシングに抑制されないのでトップが浮きやすくなります。)

いつも通りスキャロップのオリジナルダブルエックスブレイシングです。

元と並べるとこんな感じです。

サイド材に割れ止めつけときました。サイド・バックのマホガニーがあまりよさそうじゃないので新しく作った方が鳴りそうなんですけど、リメイクなんでそこはスルーします。

接着。

いい感じで接着できました。次はロッドとバインディングです。

新たに溝を掘りトラスロッド入れ直しました。両サイドにはカーボンロッド入れてます。これでネック折れにはむちゃくちゃ強くなります。

次にバインディングですが、思ったより塗装が分厚そうで加工時に塗膜との段差が気になるため剥がしました。

バインディング溝掘って、さあ接着。ですがネックが邪魔で溝加工難易度高いです。その辺りは手作業になります。
バインディングはカーリーのシカモアです。パーフリングもセルは使いません。もちろん木です。

サザンジャンボのトップのパーフリングは7プライなんですが、サンバーストにするので内側に黒1本増やしてます。8プライ。加工しやすくなり境目がクッキリするし、サンバーストの外側が黒なので実際は7プライに見えます。

サイド・バック渋いです。このままクリア塗装にしたいぐらい。まあ今回は目的が違うのでやめておきます。

次は指板です。上が指板、下がブリッジ用。大好きなカリマンタンエボニーでいきますよ。渋い木目に適度な硬さと粘りがあり大好きな木材です。

指板製作と接着後。カリマンタンエボニー指板にカーリーシカモアのバインディング。サイドポジションマークは黒蝶貝です。

そのまま使用予定だったステッカーが剝がれちゃったんで、パール貝でヘッドロゴとクラウンインレイを手作業にて製作。
何年のロゴとか色々あるみたいですがあまり知らないですし、別にどうでもいいので適当に。
年代でペグ穴の位置とかも違うみたいですね。ペグ穴も10mmに変更しました。ゴトーのペグに交換します。
インレイはすべて手作業なのでやっぱり機械ほどの精度ではできないですね。わかる人が見ればすぐにわかると思います。
指板にはパール貝でパラレログラムインレイを。こちらも全部手作業。

フレットを打ち込んで。
おー、サザンジャンボっぽくなりましたねえ。ナチュラルだとカントリーウエスタンか。

カリマンタンエボニーでブリッジ製作。同じように製作しましたが細かいところは変更しています。サドルの角度などは少し緩くしています。

塗装工程に入ります。

トップは明るめのサンバースト予定ですが少しでも杢が浮かび上がるように少しだけ生地着色しています。

サイド・バックのマホガニー。元の塗装は剥がしました。研磨のちシーラー吹き付け後です。

 

時間をかけて完成。一番扱いやすいウレタン塗装にしました。

写真など光加減でスリートーンにも見えます。意図してそういう塗装にしています。トップの中心は明るめで外周はなるべく細目を意識したサンバーストです。バックもサンバーストに。マホガニーの木目がいきるような塗装に。

 

インレイはパール貝で製作。バインディング・パーフリングは全て木材です。バインディングはカーリーシカモアを使用。
ペグはゴトー510のコスモブラックのオープンバックペグに変更。
トップはベアクローシトカスプルース、指板・ブリッジにはカリマンタンエボニーを使用しています。
ラベルは style 1962 J-45のままで。

世界に1本だけのサザンジャンボ完成です。ギブソンマニアも驚くかな?でもマニアはオリジナルしか興味ないか。

今回ギブソン寄りの新しいブレイシングを試しましたが、フィンガーピッキングより圧倒的にコードストローク向きでした。いつもの標準仕様のブレイシングはバランスがよく単音単音がハッキリしています。まだ若干堅いのでこなれてくると変わってくると思います。コードストロークすると刻みよくてかなり気持ちいいいです。

個人的にはブレイシングはもう少しフィンガー寄りのバランスにしたいのでさらに研究していきます。

追記:数日でかなり変わってきました。相変わらずコードストローク向きは変わりませんが、フィンガ―ピッキングでも対応できるぐらいにはなってきました。大きめのサイズのギターにはかなりいい感じのブレイシングではないかと思います。